鳥と腫瘍、楽譜と料理は互いに異なるものですが、基礎となる物体認識能力に優れた人は、どちらの検出も得意だったのです。
また別の246人を対象にした調査では、コンピューターによって生成された全く新規の6系統の画像(参加者も今まで見たことないような画像)を使って、そこに映る物体の形状を記憶・認識する能力を調べました。
するとある系統の物体に対して高い認識能力を持つ場合、他の系統の物体にも高い認識能力を発揮することが判明したのです。
これらの結果をまとめると、次の図のように表すことが可能になります。
鳥・腫瘍・楽譜・料理を認識する能力は知識や訓練の影響を受けており、鳥類学者や医師、ピアニスト、料理研究家であれば、自分の専門とする対象をよりよく認識することが可能です。
ですが同時に、私たちには基礎となる「物体認識能力」が存在しており、経験によるボーナスは基礎能力の上に追加される形で存在しているのです。
(※経験の差がない初めて見る物体の認識能力は基礎能力に一致すると考えられます)
そこで研究者たちは、この基礎となる「物体認識能力」を特別に「o」と呼ぶことにしました。
つまり、鳥を見つけるのが上手い人は基礎となる「o」のポテンシャルが高いために、腫瘍も上手く認識できていたのです。
同様に「o」の才能に恵まれている人の場合、楽譜の読み込みも料理の間違い探しも得意となります。
また新規の物体を対象にして個人の「o」の才能を比較したところ、IQテストの結果と同じくらい個人差のバラツキが存在することが判明しました。
さらに様々な物体認識にかかわるテストを行った場合、個人の成績の89%が「o」の才能によって説明できる(支配されている)ことが示されました。