エリート・スポーツは「男性か女性か」の二者択一で競技が行われるが、生物の性は複雑である。今後どのように規制するのかは単純ではない。

DSDsとスポーツ選手とのかかわりについて論文を準備しているシェーン・ホフマン博士は「IOCが最先端の科学的根拠によって性を分けているのではないことが気にかかる」と指摘する(BBCニュースの記事、8月9日付)。DSDsを持つ人についての「十分なデータがまだない」という。迅速な研究と議論が望まれる。

しかし、データの集積と分析によって一定の科学的結論が出たとしても、「男性」「女性」で分ける競技の仕組み自体が、性を流動的なものとして考える昨今の状況に合っていない可能性もある。この点も含めて議論が深まるよう願っている。

※「メディア展望」(新聞通信調査会発行)9月号掲載の筆者記事に補足しました。

編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2024年10月24日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。