Degasは2023年12月に、融資と第三者割当増資による9.7億円の資金調達をおこなった。これにより、2018年の創業以来の累計調達額は約22億円に達した。2023年には、シアナッツをガーナで調達する不二製油グループ本社と提携し、調達先の農家にDegasのサービスを導入した。その後、2024年には双日からの出資を得ている。
栽培にみずから取り組むスタートアップも
アフリカでの栽培にみずから取り組むスタートアップもある。Bloom Hills Rwandaは、岩手県八幡平市から生産許諾を得たリンドウをルワンダの農園で栽培している。アフリカからはバラをはじめとした花卉が欧州に輸出されているが、Bloom Hills Rwandaも欧州に販路をみつけた。同社は日本の農業技術を活かし、恵まれた自然環境と豊富な若手人材のいるアフリカに雇用を創出し、“日本からは遠いがアフリカからは近い市場”である欧州への販売につなげたことになる。また同社は、栽培におけるテクノロジーの活用にも取り組んでおり、ドローンを用いた栽培による生産性向上や物流の改善も試みている。
たとえば、地上走行型ドローンでリンドウの生育状況を撮影し、AIの画像認識で分析することによって、生育不良を発見したり収穫時の品質を予想したりできるようにした。また、品質予想データをもとに農園スタッフに収穫を依頼し、収穫したリンドウを飛行型ドローンで倉庫に運ぶことによって農園内の物流改善にも取り組んだ。
「バリューチェーン横断×デジタル活用」のサービスでアフリカ農業を底上げ
本連載では前3号にわたって、川上の栽培、収穫物を市場に届ける川中、精密農業にそれぞれ特化したスタートアップをとりあげてきたが、今回取り上げた日系アグリテックはBloom Hills Rwandaも含めていずれも、栽培から集荷、販売、支払いまでバリューチェーン横断で一貫して関わっていることが特徴だ。