私が経営者で内部留保課税が決定したら、たぶん、利益は頑張って出したいので、人件費や他の費用は気にせず、税金相当額だけ②をやるだろう。

しかし、内部留保を問題にする人が望んでいるのはそういうことなのだろうか?配当が少ないことや自社株買いを求めるなら、内部留保が大きいことを問題とすることはおかしくはない。しかしたぶん、多くの方は「配当を増やせ」と言っているように見えない。・・・かといって「利益を減らすだけでなく赤字にしろ」と言っている人をあまり見かけもしない。ほんとうになぜか内部留保が問題としか聞こえない。

しつこいようだが、経理的にみれば、先に挙げたような項目について内部留保という貸借対照表の右側を問題視するのは不自然であるにもかかわらず、あまりにも多くの、経理を熟知されていると思われる専門家と称される方々や政治家、オールドメディアが、「個別の問題点をさしおいて、内部留保が大きいことが問題だ(つまり原因よりも結果が問題なので結果を先に対策しよう)」という理由が私にはわからないのである。

なぜ、個々の問題という原因を差し置いて内部留保という結果の対策を訴えるのか、を私の悪い頭で無理をして邪推してみたが、こんなことなのだろうか。

ひょっとしたら、内部留保を悪者にする人はそういう理屈はわかったうえで、①「もっと株主を儲けさせたい」と考えているか、②「今の日本の企業は儲けすぎなので大企業は赤字にしてつぶせばいい」し、③「儲かっているならもっと税金を払え」と考えるけれども、庶民の味方を装う都合上、あからさまに「配当を増やせ」「赤字にしろ」または「税収をとれるならどこからでも取れ」とは言いにくいので、素人的には「悪」の響きのある「内部留保のためこみ」と偽って目的を果たそうとしているのだろうか(右側の人は①、左側の人は②、③は両翼の人もいいと思っているのだろうな)。

しかも、そのうえで、「内部留保を批判しておけば正義の味方を演じられるし、経済通のようにも見える」という人気取りの側面を意識しているのだろうか。そうであるならば、あまりにも国民をバカにしたものだとは思うが・・・。