だから「悪いのはぜんぶ亜インテリであり、インテリがファクトチェックでネットを規制すれば解決だあぁぁ!」「そうだそうだあぁぁ!」みたいなコール&レスポンスが、始終SNSの片隅を賑わせてるわけですが、そんなのぜんぜん機能してないだろってのは、前に実例を示したとおりでして。

『平成史』ほかで何度も指摘しましたが、1990年に36%だった日本の大学進学率は、2000年に49%。わずか10年で「3人に1人」を「2人に1人」に引き上げたのだから、大したものです。逆にいうと、それで社会がよくならないなら、「大学で知に触れる人口を増やせば増やすほどよい」とする処方箋そのものが、まちがってたわけで。

この点さすがだったのは、東京帝大に勤めて辞めた夏目漱石ですね。前回採り上げた『それから』でも、「もっと大学を増やせば」政策が招いた混乱を、冷ややか~に描写しています。文部省が東大に商業学科を設けようとし、いまの一橋大で反対運動が起きた事件を、踏まえていわく――