しかし文章の構造的な複雑さに関しては、分割して読みやすくしても問題ありません。
特に法律では、用語の定義や前提についての説明を文書の中央に埋め込む形式が横行していますが、これらについては新たな1文を用意した方がずっとわかりやすいはずです。
たとえばマサチューセッツ州の飲酒運転に関する法律では
公衆が立ち入る権利を有する方法または場所、または公衆の構成員が招待者または許可者として立ち入る方法または場所において、重量による血中アルコール濃度が8分の1以上の状態で、または第94章Cの第1項に定義される酔わせる酒、マリファナ、麻薬、鎮静剤、または興奮剤の影響下にある状態で、または第270章第18項に定義される有毒な蒸気を放出する性質を持つ物質の煙を嗅いだり吸入したりした影響下にある状態で自動車を運転した者は、500ドル以上5,000ドル以下の罰金、または2年6ヶ月以下の懲役、または罰金と懲役の両方に処せられる。
となっています。
おそらく多くの人は、挿入されている文章の多さから意味が混乱し、読むのを辞めてしまったのではないでしょうか?
以前に行われた研究では、このような構造的な難しさは、一般人だけでなく弁護士たちにとっても理解度を下げる要因になっていると報告されています。
また契約書などで構造的に複雑な文章が多用されている場合、書かれている意味が同じでも、契約の成功率が下がることが示されています。
構造的に複雑な文章は正確さの維持にも役立たず、実用面でも問題があると言えるでしょう。
にもかかわらず、世界各国の法律文章や契約書はかたくなに構造的に複雑な文章を維持し続けています。
いったいなぜなのでしょうか?
そこで今回シカゴ大学の研究者たちは、法律文章が複雑である理由について、改めて調査を行うことにしました。