黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。

覚醒のとき来たれり。

無謬の境界に落ちし理。

無行の歪みとなりて現出せよ!

踊れ踊れ踊れ、

我が力の奔流に望むは崩壊なり。

並ぶ者なき崩壊なり。

万象等しく灰塵に帰し、

深淵より来たれ!

これが人類最大の威力の攻撃手段、

これこそが究極の攻撃魔法、

エクスプロージョン!

となっています。

他にもさまざまな詠唱シーンが存在しますが、どれも非常に魅力的な台詞と言えるでしょう。

子供時代に登場人物たちが口にする詠唱文を覚えようと必死になった人もいるのではないでしょうか?

しかしここで素朴な疑問が浮かびます。

なぜ詠唱呪文の文面は、こうも難解なのでしょうか?

もちろん「そのほうが面白いから」というのが正解ですが、ではなぜ、そもそも面白く感じるのでしょうか?

答えの1つとして「詠唱文が難解であればあるほど、これから発動される魔法や呪術が強大な力を持つことを期待させるから」というものが上げられるでしょう。

つまり文章の解りやすさを犠牲にすることで、文章に箔付けを行っているわけです。

私たちは学校でも仕事場でも「解りやすい文章を書きなさい」と教育されてきましたが、呪文詠唱においては、その常識が逆行を起こしていたのです。

さてここからが本題です。

現実の世界において呪文詠唱を行うシーンはあまりありませんが、呪文詠唱と同じくらい難解な文章は数多く存在します。

その1つは法律文章です。

法律文章が難しいのは「権威付け」を行うためだった

これまでの研究により、法律文章の難しさは数多くの専門用語が含まれるだけでなく、文章の中に文章を入れ込む、複雑な構造も原因であることが指摘されています。

専門用語の多用については、正確性のために仕方がない部分もあります。

たとえば過去の研究では、専門用語を平易な単語に書き換えた場合、正確さが維持される場合もあるものの、誤解されるリスクが増える可能性が指摘されています。