このとき、被験者の目の動きは高性能の視線計測器(Tobii Pro Spectrum)によってモニタリングされています。
そして実験のデータ分析をした結果、サイゼリヤの英語ロゴは中心視野を動かさないと視覚認知がしにくく、周辺視野では捉えずらいことが示されました。
下図の右がそれで、中心の水色は中心視野を示しており、同じ大きさの青丸は中心視野を英語ロゴに移動させたことを示しています。
ところが興味深いことに、日本語ロゴは中心視野を動かさなくとも、周辺視野で十分に視覚認知できていることが判明したのです。
下図の左がそのことを示しており、被験者は視点を完全に日本語ロゴに移さなくとも、周辺視野でサイゼリヤのロゴと認知できていることがわかりました。
以上を踏まえると、サイゼリヤのロゴが2つあることには大きな強みがあると研究者は指摘します。
例えば、サイゼリヤがメインの英語ロゴしか使わなかった場合。
店舗や道路脇の広告看板に英語ロゴを立てると、中心視野でじっくり見れば「おっ、サイゼリヤがある」と認識できますが、目の端にチラッと入ったくらいではそれと認識できず、お店をスルーしてしまう可能性があります。
一方で、日本語ロゴを広告看板として使うと、中心視野でしっかり見なくても、目の端にチラッと入っただけで「サイゼリヤあるじゃん!」と気づくことができるわけです。
つまり、サイゼリヤの日本語ロゴの視覚認知性の高さは、お客さんを惹きつける広告看板として打ってつけだと考えられます。
これは研究者たちの独自の答えであって、実際にサイゼリヤの経営者たちが意識してそうしたのかどうかはわかりません。
しかしサイゼリヤが日本国内における外食チェーン店のトップに君臨しているのは、こうした日本語と英語の2枚看板の力も大きいのかもしれません。