こうした色が与える心理作用の他に、ニューロマーケティングには「視覚認知性」を応用したものがあります。

視覚認知性とは、簡単にいえば、ある対象物を目で見たとき・視界に入ってきたときにどれだけ認識しやすいかを示す指標です。

例えば、マクドナルドの看板はあらゆる色の中でも最も目立つ「赤色」と「黄色」を使っているので、雑多な街中でも目につきやすく、視覚認知性はとても高いといえます。

では、他の外食チェーン店のロゴの視覚認知性はどうなのでしょうか?

この問題を探るため、研究チームが有名外食チェーン店のブランドロゴを調べていたところ、他のブランドと異なる特徴を持つお店が1つだけありました。

それがサイゼリヤのロゴです。

他の外食チェーン店が1つのロゴに統一しているのに反し、サイゼリヤだけは日本語と英語の2タイプのロゴを使っていたのです。

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サイゼリヤの2つのロゴ / Credit: 中央大学 – サイゼリヤのロゴはなぜ日英2タイプあるのか?(2024)

しかも32名の学生に質問したところ、サイゼリヤの2つのロゴはどちらも非常に高い認知率を誇っていました(日本語ロゴは87.5%、英語ロゴは90.6%)。

日本語ロゴは緑バックに赤色のカタカナで「サイゼリヤ」と表記されており、英語ロゴは白バックに赤色のローマ字で「Saizeriya」と表記されています。

マーケティング戦略において知られている「コーポレートアイデンティティー理論」によりますと、1つのブランドに対しては1つのブランドロゴに統一するのが売上を上げるのに最も適切であるとされてきました。

これに反し、サイゼリヤは日本語と英語のロゴを長年使い続けた結果、どちらの認知度も極めて高くなり、マーケティング戦略においてもまったく不利には働いていないことが見て取れます。

どちらのロゴがメインなのかについて公式の発表はありませんが、メニューブックや公式文書の記載から察するに、英語ロゴがメインのようです。