報道では、BRICSは新たに「パートナー」という枠を設けて、正式メンバーではない諸国の受け入れをする体制を整えているという。拡大をすることは確実な情勢だが、最終決定がなされていないためか、最終結果がどうなるのかはいまだ不明だ。注目点は、拡大の仕方と、不拡大の領域だ。
昨年の拡大国は、イラン、UAE、エジプト、エチオピア、そしてサウジアラビアだった。上述した通り、サウジアラビアは決定後に、態度を保留する姿勢をとっている。アメリカなどからの相当な働きかけがあったという推察もなされている。いずれにせよBRICS側の拡大の意図ははっきりしていた。
なんといっても、世界の原油取引の大部分を握る中東の産油国をBRICSのメンバーにするという意図が明白であった。現在BRICS諸国だけで、世界人口の4割以上を占めるだけでなく、世界の天然資源の相当量を抱えている。ここに中東の産油国が加われば、BRICSの政策協調による天然資源市場への影響が絶大になる。
イランとアラブの産油国であるUAE及びサウジアラビアを同時加盟させた。同時加盟させないと、残った国を取り込みにくくなるからだろう。サウジアラビアが態度を変えたとしても、BRICS側がさらなる翻意を待ち続けているようであるのも、こうした戦略的意図があるからだろう。
エジプトというもう一つのアラブの有力国を加入させると同時に、東アフリカでエジプトと対立するエチオピアも同時加入させた。これもどちらかを先に入れてしまうと、BRICSがアフリカに拡大していく際の足かせになるという判断が働いた措置だろう。よく配慮された措置であったと言える。
イエメンのフーシー派が紅海を航行する船舶を攻撃するため、紅海を通じた貿易取引が止まっている。これに対抗するためにイスラエルがソマリア領内のソマリランドにイスラエル軍を駐留させることを許可するように働きかけているという報道がある。