こうした世相を反映する代表例として、92年に放映が開始されたアニメ「クレヨンしんちゃん」では、ほぼ毎回のように登場していた母親の「げんこつ」というコミカルシーンが、現在の放送ではかなり少なくなっています。
実際、こうした認識の変化により、親による「殴る」「蹴る」といった子供への暴力事件が明るみに出ることも増えました。
また体罰に関する研究も多く行われ、体罰と子供の問題行動の間に強い相関関係を示す結果が提出されてきました。
とはいえ、こうした過去の研究では、子供たちが抱える既存の問題行動が考慮されていないことが多かったようです。
つまり、「体罰自体が子供の問題行動を増加させるのか」それとも「もともと問題行動の多い子供に、より頻繁に体罰が与えられるのか」が曖昧だったのです。
もちろん、虐待にあたる「過度な」「制御されない」「親の気分で行われる」「一貫性のない」体罰が肯定されるべきではありません。
しかし、子供への体罰全てが、「虐待」であり「悪」なのでしょうか。
そう感じる人は少なくありません。
一方で、ルールに基づき、事前に警告が与えられた後に行われる「適度な体罰」は、行っても問題はないと考える人もいます。
これらに対する議論は長年続いてきましたが、今回、ラゼレール氏ら研究チームは、1つの答えを提出しました。
彼らは、47件の過去研究(参加者1万2727人)を用いた大規模なメタ分析により、体罰が子供の発達に悪影響を与えるのか調べたのです。
しつけの種類
今回の研究で扱われている「しつけ」の方法には、以下のものがあります。
まず、体罰ではない「タイムアウト法」です。
これはアメリカで長年行われてきたしつけの方法であり、子供が悪さをした時に、部屋の隅や別の部屋に連れていき座らせ、少しの間ひとりにするというものです。
タイムアウトによって子供が落ち着きを取り戻したなら、「なぜタイムアウトが必要だったか」「どうすべきだったか」を認識させてあげます。