これは静脈の弁が機能障害を起こし、血液を心臓に戻すことが難しくなることで、静脈の一部に血液が溜まりやすくなる症状です。

下肢静脈瘤が直接命に関わることはありませんが、痛みや歩くときの違和感、だるさや重さ、むくみなどの症状が現れます。

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一方で、深部静脈血栓は体の奥側の静脈、つまり深部静脈に血液の凝固が起きてしまう症状です。

下肢静脈瘤は体の表面の静脈(=表在静脈)に瘤ができるものでしたが、こちらは筋肉の中や骨の近くにある静脈に症状が出ます。

深部静脈血栓になると、脚や腕の腫れが生じたり、血栓による炎症に伴う痛みが起こります。

これらは共に、長時間同じ姿勢を取り続けることで筋肉をあまり使わなくなり、血液を心臓に戻す筋力が弱まることで静脈の機能が阻害されやすくなります。

特に立ちっぱなしになると、重力の影響で血液が足に溜まりやすくなり、静脈内の血圧が高まることで静脈の弁の機能を壊してしまうことがあるのです。

以上の結果から、座りっぱなしだけでなく、立ちっぱなしにも健康への害悪があることが認められました。

しかし、座りっぱなしもダメ、立ちっぱなしもダメだとすれば、どうするのがいいのでしょうか?

では一体どうしろと言うのか?

この結果を受けて、研究主任のエマニュエル・スタマタキス(Emmanuel Stamatakis)氏は「1日の中で定期的に立ち上がって軽い運動を取り入れるのが最も最良の方法である」と話します。

例えば、部屋の中を歩き回る、昇降運動をする、ストレッチやエクササイズを取り入れるなどです。

では具体的に、1日にどれくらいの運動量がいいのでしょうか?

これに関してはノルウェーの研究チームが2020年に報告しています(British Journal of SportsMedicine,2020)。

この調査では、4カ国の合計4万4370人を含む大規模データを対象に分析した結果、中程度以上の運動を1日に約30〜40分間行っていた人は、座りすぎに伴う死亡リスクが有意に減少していたことが判明しました。