これは、DLR理論ではL(住民の意欲の高さ)とR(リーダーシップ資源の豊かさ)に該当する。石破首相「所信表明演説」にいわれた主体としての「産官学金労言」もまた、ここに該当する。

人間文化資本

第三の「人間文化資本」は、

身体化された文化資本(家庭教育や学校を通して個人に蓄積された知識・教養・価値) 客体化された文化資本(書物・絵画・道具・機械などの物質として所有可能な文化財) 制度化された文化資本(学校制度などで与えられた学歴・資格)

に分けられる(ブルデュー、1979=2020:7)。

このうち特に重要なのは、1. 育った家庭で「ひと」が身につけた知識・教養・価値である。これもまた、DLR理論ではL(人の知識、技術、知恵、知性)を占めるものである。

興味深いことに「人間文化資本」という用語は使われていなかったが、岸田内閣『経済財政運営と改革の基本方針2024について』でも「はじめの100か月の育ちのビジョン」(:46)と表現され、幼児期の8年4か月の育て方の重要性が強調されている。

この「はじめの100か月の育ち」の重要性は、「社会資本主義」における「地方創生」でも受け継ぎたい。

「新しい地域おこし」の5つの原動力

類似の一般化の試みは、竹本が全国各地で収集してきた193の事例から、「新しい地域おこし」の5つの原動力の要約に認められる(竹本、2016:31)。

地域の資源に着目し、地域の課題から発想を広げる。 住民が主体であり、行政依存では成果が限定される。 事業の成否は人材で決まる。 地域の実態を知らないコンサルタント依存では副作用を生み易い。 自主財源の確保が事業継続を保証する。 地方創生事例における4者の「主体」

図4は竹本(2016)が集めた193事例を私の基準により「主体」を分類した結果であり、自治体主導が32.1%、コミュニティが30.1%、公益法人が19.2%、ビジネス会社が18.7%になった。

図4 地方創生の主体 出典:竹本,2016