その内訳は「稼ぐ地域」が27.2%、「地方とのつながり」が16.0%、「結婚・出産・子育て希望」が5.1%、「人が集う魅力的地域づくり」が28.8%、「多様な人材」7.4%、「新しい時代」15.6%であった。子細に点検すると、「基本目標」に合致しない事業もかなり散見された。

なお、石破「所信表明演説」での「地方創生交付金」の倍増とは、「政策パッケージ全般」の1000億円が2000億円になることを意味するのであろう。

省庁の事業が絞り込めるか

省庁でも自治体でも、たとえば時代が求める「観光」「移住支援・関係人口増加」「EC・地域商社」「企業誘致・起業促進」「地域医療」「地域交通」などを優先することは考えられてよい。

また、倍増された「地方創生交付金」の使用目的としては、図5の5分野に特化することも可能であろう。もちろんどの5分野でも、その根底に金融機関の業務に象徴される「費用対効果」の発想をもち、長期化が可能な事業システムづくりが有効であるとみる。

ネットワークの融合効果の活用

第二は、事業化に際しては規模の集積利益だけではなく、ネットワークの融合効果を活用する。

私が調べたローカルな事例をあげると、北海道下川町では町有林からの木質バイオマスが「お湯」という消費財を作り、それが生産財にも転用されて、多方面にネットワークを拡大させていた。

「五き」としての天気、人気、景気、季節、規則を使いこなす

また伝統的な灘の酒造では、「五き」を活かして、複数の天然資源を結びつけ、人為的ネットワークを加え、その製品を空間的に拡販した(金子、2018:211-236)。

ここでいう「五き」とは、天気、人気、景気、季節、規則を包括する私の造語であるが、いずれも「地方創生」事業や活動を推進する要因にもなるし、阻害する機能を持つこともある(金子、2014:25)。

短期と長期の具体的目標の融合

第三は、短期と長期の具体的目標を融合させ、その利益がリーダーはもとより支援者にも行き渡り、さらに全町、全市、全県、全国に広がるように工夫して、事業の長期的展開を維持したい。