「所信表明演説」での「産官学金労言」とは異なるが、竹本が収集した地方創生事例を点検すると、4者の「主体」の立場に応じて、分配の視点が析出される。

二度目の「地方創生」では汎用性を目指そう

さらに図5によれば、4通りの地方創生「主体」と5つの「事業内容」に絞り込まれる。

図5 地方創生の主体と事業内容 出典:竹本,2016

原則として地方創生のテーマは何でもいいのだが、図5にまとめられる「農業・漁業」、「産業・商業活動」、「まちづくり・観光」、「環境・エネルギー」、「学校・教育・情報」に限定した試みを当初の3年では優先してはどうだろうか。

いくら予算額が増えても、省庁が「あれもこれも」の事業を行えば、失敗も増えるから、その全体総合的な成果は得にくくなる。むしろ「あれもしくはこれ」というような絞り込みで、当初の3年間は出発したい。

地方創生予算総額1兆2356億円の体系

このようにのべる理由は、令和3年度予算を素材に点検した結果に基づくからである。

すなわちこの年度の「地方創生」予算総額1兆2356億円の体系は、

(1)基本目標

稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする ・・・1,655億円(70事業) 地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる・・・414億円(41事業) 結婚・出産・子育ての希望をかなえる・・・3,714億円(13事業) ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる・・・4,133億円(74事業)

(2)横断的な目標

多様な人材の活躍を推進する・・・・・・197億円(19事業) 新しい時代の流れを力にする・・・・・・1,244億円(40事業)

(3)政策パッケージ全般

地方創生交付金・・・・・・1,000億円

となっていた。

政府各省庁の事業総数は257事業

このうち「基本目標」と「横断的な目標」の6分野において、政府各省庁の事業総数は257事業にものぼった。