そして、その目標達成のためには「地域のリーダーシップと住民の意欲」が重要であり、これがL(レベル)になる。

さらに具体的には「どんな資源を媒体として何を生産するか」というしごとが生みだされ、R(リソース)の軸が構成される。

社会的共通資本

図2でいえば、図1のモデルのうちの「社会的共通資本」に直結する。大都市から過疎地域まで「まち」の重点的基盤は、道路、港湾、鉄道、上下水道、電力、ガス、通信、学校、病院など「社会的共通資本」(宇沢、1995:137)の「修繕・更新、集約・複合化」である。

しかしすでに全国的に見ても老朽化が激しく、岸田前内閣が6月21日に発表した『経済財政運営と改革の基本方針 2024』(:49)でも、行政課題として「戦略的な社会資本整備」が取り上げられた(図3)。

図3 建設後50年以上経過する社会的共通資本の割合 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)「経済財政運営と改革の基本方針~政策ファイル」(2024年6月)より転載

「社会的共通資本」の整備が災害予防に直結する

災害予防の意義も大きい治山治水に直結する「社会的共通資本」の整備こそが、新しい経済社会システムとしての「社会資本主義」の根底を支える。

その「修繕・更新、集約・複合化」は、しばしば強調されるDX(デジタル化)やGX(エネルギーのグリーン化)などよりも、大切な国民生活を災害から守り、多方面での経済活動の裾野を広げるであろう。

たとえば、能登半島地震被害や豪雨被害などからの復旧・復興もまた、ここに含めることができる。

社会関係資本

第二の「社会関係資本」とは、パットナム(2000=2006)がこの専門語を使って、個人的つながりの活用が健康づくりやまちづくりそれに民主主義にも有効であることを支持する証拠を揃えたことで、学術概念がもつ政策への実践力を際立たせた。

ハード部門に特化した「まち」の「社会的共通資本」の整備に加えて、「社会関係資本」は「ひと」が織りなす社会参加、そして関係の相互性や信頼などの心理的要素が凝縮されている。だから、個人的な強弱のつながりから構成される社会関係により得られる有益な情報が、多方面の方面に関わる「しごと」への「人脈」を培い、地方創生の原動力にも発火点にもなる。