国際刑事裁判所(ICC)検察官が、逮捕状請求の対象として名指ししたハマス指導者3名のうち、すでにハニヤ氏、デイフ氏、そしてシンワル氏の全員が、イスラエルによって殺害された。残っている逮捕状請求対象は、イスラエル政府のネタニヤフ首相とガラント国防大臣だ。

ICCとイスラエル政府の全面対峙の構図が強まった。アメリカなどはイスラエルを擁護するために、ICC組織・職員に対する金融制裁措置などをとってくると言われている。だがもしICCがその圧力に屈したら、米国の同盟国以外の信任を失うだろう。

シンワル氏の死亡は、組織としてのハマスの弱体化を意味するだろう。しかしそれは戦争の終わりではない。まして国際社会の構造的な対立の緩和を意味しない。ガザ危機は、ハマスの組織的な存在をこえて、さらに国際社会に動揺をもたらしていく。シンワル氏の死亡は、その大きな流れの中の一つの象徴的な事件として記憶されていくことになるだろう。

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