受け継がれる伝統(ケネディ・スペース・センター)
今まで宇宙に行った人の数は約500人以上に及びますが、そのなかで月面歩行をしたムーン・ウォーカーは未だアポロ計画時の12人に留まっています。技術が十分あるにも関わらず月へ行かない理由には第一にコストの問題があります。有人探査は宇宙事業の中でも最も多額の費用がかかり、政治支援を得るのも難しいとされています。
アメリカが考えた打開策は、宇宙開発へ民間企業の新規参入を後押しすることです。そこで2007年に登場したのが、民間による月面探査を目標に掲げる「Google Lunar XPRIZE」。このプロジェクトはXプライズ財団主催の賞金レースで、月面に無人探査機を着陸させ、500m以上走行させ、高解像度の動画と写真データを地球に転送することに成功した優勝チームに賞金最大2千万ドル(約20億円)を贈るというものでした。最終的には世界から5チームが残り、アメリカからMoon Express、イスラエルからSpaceIL、インドからTeamIndus、日本から宇宙ベンチャーispace社のHAKUTO、多国籍チームで編成されたSynergy Moon(アメリカ、オーストラリア、クロアチア、マレーシア、ブラジル)が競い合いました。しかし、期限である2018年3月31日までどのチームもロケット打ち上げが間に合わず、勝者がいないままレースは終了してしまいました。今後、私たちはどのように再び月を目指すのでしょうか?考えると、とてもワクワクしますね。
2018年秋、ファッション通販サイトなどを運営するZOZO株式会社の前澤友作CEOが米SpaceX社のイーロン・マスク氏と契約を結び、2023年に1週間掛けて月を周回する宇宙旅行のチケットを購入したことが話題になりました。プロジェクト名は「#dearMoon」。大枚をはたいてでも宇宙に行きたい…人類初の月面着陸から半世紀経った今も、月に行くことは多くの人にとってロマンです。アポロ計画の宇宙飛行士の平均年齢は38.31歳でしたが、これから人類が再び月を訪れるとき、平均年齢は上がるのでしょうか、下がるのでしょうか。インスタ上で「#バイザーショット」というハッシュタグと共に月旅行の画像がアップされる…なんて時代がくるかもしれませんね。
映画や本にも。50年たった今も人類の夢
2019年に宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いた映画『ファースト・マン』が公開されました。人類が人智を超えた宇宙に挑んだアポロ計画は、50年経った今もなお、本や映画などの作品を通して私たちの想像力を掻き立ててくれています。
そして、2019年5月、NASAが次の有人月面着陸計画として発表したのは「アルテミス(Artemis)計画」。月面着陸50周年を記念し、宙畑では連載記事を順次発表していきます。乞うご期待!
提供元・宙畑
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