アポロ計画陰謀論?月面着陸は嘘?真実であることは実証済み
私たちは普段、「人が月に行ったなんて信じられない」と半信半疑に月を見上げることもあるのではないでしょうか。到底不可能と思える取り組みを「ムーン・ショット」と表現する言葉も存在します。それだけ月に行くことは「ありえない!」と多くの人が考えています。
アポロ計画が真実であったことは、さまざまな人が科学技術と天文学の観点から立証しています。例えば、近年では2014年、Google Earthなどにコンピュータの高速演算を可能とするGPU装置を提供しているNVIDIA社の技術チームが、映像表現技術向上のためにコンピュータで月面着陸の映像を再現しました。自社のGPU装置と光を映像で表現するVXGI(Voxel Global Illumination)技術を使い、月面での太陽光の当たり方の精細なコンピュータモデリングに成功。再現した月面着陸映像の光の陰影が、アポロ計画で撮影された写真の光加減と一致したと発表しました。
その他にも、天文学者フィリップ・プレイト著の『イケナイ宇宙学 間違いだらけの天文常識』(楽工社、2009年)では、「なぜ写真に星が写っていないの?」など定番の疑惑に対して科学的に解説しています。2003年に公開されたドキュメンタリー『アポロ11号-月面着陸に隠された真実(The Truth Behind the Moon Landings)』などの作品もあります。
アポロ計画捏造疑惑とあわせて話題に挙がるのが、アポロ計画と秘密結社フリーメイソンの関係です。当時、そして50周年記念のアポロ計画のエンブレムにはオリオン座のデザインがあります。NASAの公式見解では、三ツ星はアポロ1号で亡くなった宇宙飛行士を象徴しているとありますが、異なる見方もあるようです。興味のある方は調べてみてください。
また、アポロ計画の陰謀論をネタにし、月面着陸を火星着陸に置き換えて宙飛行士たちの命が政府によって狙われるハラハラドキドキのサスペンス映画も生まれています。『カプリコン・1(Capricorn One)』(1977年)という映画ですが、面白いのでぜひ鑑賞してみてくださいね。
アポロ計画の功績とその後の宇宙開発
アポロ計画はアメリカの威信獲得のみならず、サターンV型ロケット・宇宙船・アポロ誘導コンピュータの開発を通じて技術が発展し、それらを統合したシステム工学を成長させました。アポロ8号が「日の出」もとい「地球の出」を撮影したことがより多くの人の世界の見方を変え、月の起源を解明する科学の進歩にも貢献しました。
アポロ計画では全ミッション合わせ、約380kgもの月の石を地球に持ち帰って来ています。それまでは写真とリモートセンシングによるデータだけに頼っていたところ、現地調査によるサンプルを採取できたことは月の地質調査において大きな前進でした。月の海(黒っぽい箇所)は玄武岩、月の高地(白っぽい箇所)は斜長岩で構成されていることも確認できています。アポロ15号が持ち帰ってきた「ジェネシス・ロック」と名付けられた約9cmの斜長岩はなんと推定40億年!多くの科学者は、月のマグマ(高温により液状化した岩石物質)の海から斜長岩が直接結晶化したと考えていたため、斜長岩の成分を調べることこそが、月、そして地球の起源の理論を裏付ける証拠となると考えていました。
アポロ計画後、NASAは地球軌道を周回する大型宇宙ステーションを建設するスカイラブ計画(1973年-1979年)、犬猿の仲であったソ連との共同プロジェクトであるアポロ=ソユーズテスト計画(1972-1975年)を進めました。1962年、世界が核戦争の危機に陥ったキューバ危機を乗り越え、1970年代に米ソ冷戦のデタント(緊張緩和)が進み、1975年7月17日、ついにアポロ宇宙船とソユーズ宇宙船のドッキングが成功します。それは、長く続いた冷戦の終結を象徴したのでした。半世紀前、宇宙開発の主なプレーヤーがアメリカとソ連の二強であったのが、現在は国際宇宙ステーションに15ヵ国が協力し、そして中国の台頭も含め、宇宙開発に参加する国の裾野は着実に拡大しています。