だとすれば、野田は日本国憲法は、皇族の数は最低限に留めたうえ、運悪く女性を含めた皇族がいなくなったら天皇は空位になり、廃止ということになることを予定していたと考えているということになる。つまり、執行猶予付きで天皇制を廃止するのが日本国憲法の趣旨だったということだ。
しかし、このような野田の天皇制時限存続論などという憲法解釈は荒唐無稽であって、お話にならないのである。
さらに、野田は女性天皇とか女系天皇があり得るということが、皇嗣殿下や悠仁さまを排除して愛子天皇もあり得るということなのかどうかについて明言を避けている。
しかし、これはおかしなことだ。そもそも、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」では、皇嗣殿下という地位を明確化し、立皇嗣礼まで定めて、それに基づいて立皇嗣礼が行われている。
一般に帝王に継承権がある子がいない場合に、兄弟が継承順位第一位になるが、子どもが生まれる可能性がある限りは継承を確定せず、可能性がほぼないということになった時期に、立太子令に当たる行事をするのが普通だ。
日本の場合は、それを立皇嗣礼をすると法律で決めたということは、それを変更することはないのだと宣言したことであるし、それは野田の立憲民主党も認めたということだ。それを反故にするのは論外だし、そもそもヨーロッパで女子の継承順位を上げる改正をした場合も、まだ生まれていない子が対象で、すでに生まれている皇族には適用しないのが鉄則だ。
それにもかかわらず、野田が受取り方によっては、皇嗣殿下を廃嫡して愛子天皇を実現するような可能性をほのめかすことは皇室に大混乱を及ぼしかねない。昔からそういうことをすると戦争とかテロとかを引き起こしかねないほど危険なことであることを歴史は証明している。
さらに、野田はあたかも自分が上皇陛下から格別に信頼されていたというようなことを匂わすのが好きである。少なくともそれを周辺が匂わしたりする。