野田は女性皇族の配偶者や子供にも皇族の身分を付与せよというのだが、野田の思惑通り進んでいたら、いまごろ小室圭さんを「殿下」と呼んでいなければならないところだったのだから、野田も諦めるべきだったが厚顔無恥にも固執している。

一方、旧宮家からの養子案については、旧宮家だけが皇族になれるのは憲法14条(法の下の平等)に違反するとの指摘がある―などと主張している(詳細は、新著『系図でたどる日本の皇族』TJMOOKで解説)。

野田内閣の時の女性宮家案では、上皇陛下の四人の孫とその子孫に皇位継承権を限定する前提が取られたことで、三笠宮、高円宮系の女性皇族の子孫も、明治天皇や昭和天皇の女系子孫も排除しようとしたので、将来においてこの四人の子孫が断絶したらどうするのかという展望を欠いていた。女系を認めるならもっと広い範囲も対象にしないと皇室の永続性を保証することができないはずなのだ。

さらにその後、眞子さまが結婚して皇室の外に出られたので、野田の構想だと、悠仁さま、佳子さま、愛子さまの女系を含めた子孫で皇室にある人がいなくなった場合、天皇制度は廃止に追い込まれることになる。

まず、三人の従兄弟従姉妹の子孫が何世代かの内に誰もいなくなる可能性も小さくない。数学的にもそんなに小さくないし、さらに三人は同じような遺伝子の持ち主なのだから、何割かの可能性で数世代のうちに断絶するだろう。さらに子孫が結婚後に在留を希望せず、皇族から離れることもあるから、可能性はさらに大きくなる。

どこの国の君主家でも、ときどき継承者がいなくなるのは不可避で、その際は、遠縁から求めるのである。海外では日本ほど厳密に皇族と一般国民を区別していないうえに、外国人でも平気だから王統断絶の可能性はないのである。

そうなると、この野田が難癖つけているように、養子とかその他の方法で皇族に遠縁の男女が復帰するのが違憲だとすると、これを回避するためには改憲が必要だが、もともと予想された事態に対処するために改憲など普通はない。