TSMC熊本工場でつくるものがあるのか
このように思っていたら、もしかしたらTSMC熊本工場ではつくるものがないかもしれないという懸念が浮上した。図1は、TSMCの地域別の売上高を示している。コロナ特需が起きた2021年以降、日本および欧州の売上高が増大していた。ところが、日本も欧州も2022年Q4にピークアウトして、売上高が減少している。つまり、台湾のTSMCの本社工場で日本向けの半導体売上高が減少しているわけだが、そのようななかで、TSMC熊本工場で日本向けにつくるものがあるだろうか。
さらに悲観的なデータがある。図2は、TSMCの各テクノロジーノードの売上高を示す。TSMC熊本の第1工場で生産する予定の28nmと16nmの売上高が急激に減少している。加えて、第2工場で生産が検討されている7nm(6nmを含む)の売上高がピーク時より半減しているのである。
以上をまとめると、日本にはファブレス企業がほとんどないため、TSMC熊本工場は、そもそも日本向けの半導体をあまり生産しないだろう。加えて、台湾のTSMC本社工場で日本向け半導体売上高が減少しており、TSMC熊本工場で生産する予定の28nm、16nm、6nm(7nmの改良品)の全ての売上高が減少している。となると、TSMC熊本工場では、つくるものがないのではないか。