定型的作業の自動化:定型的なコーディングやドキュメント化を自動化することで、技術者は複雑な課題の解決や新機能の開発に集中できる。

新規コードのドラフト作成の高速化:コード生成AIツールは、技術者が発行した指令文(プロンプト)から新規コードを提案できる。

既存コードの修正や洗練化の高速化:プロンプトを発行することで既存コードの修正や洗練化が高速にできる。

こうしたコード生成AIの活用による生産性向上の効果は、技術者のクリエイティブワークへの集中を支援し、有能な技術者が本来発揮すべき職能を生かせる環境の構築につながる。

もちろん、これは日本のソフトウェア技術者にとっても朗報である。エーピーコミュニケーションズが今年6月に実施した調査では、ドキュメント化などに手をとられることで3人に2人のエンジニアがコアな開発業務への稼働が50%を下回り、1割が「全くさけていない」と回答。開発・運用担当のIT人材がコア業務に時間を割けていない実態が明らかになっている。日本の技術者を非コア業務から解放し、クリエイティブなコア業務への集中を支援するコード生成AIツールのメリットは大きいと思われる。
ITエンジニアもしくはソフトウェアに関連する業務に従事している20歳以上の経営者・役員・会社員約550名を対象

“トレーニングの教師”として人材育成にもAIが貢献

他方、日本の特殊事情に目を向けると、もうひとつのメリットにも光をあてるべきだ。

海外企業と同様に内製開発に舵を切った日本企業は、社内人材の育成をこれから始める必要がある。米国企業で実践されているように、コード生成ツールを“トレーニングの教師”として利用する効用が日本でも大きいのではないか。

AI活用によるコード生成の限界と今後の課題

ImageCredit:Stack Overflow

米Stack Overflowが今年5月に発表したレポートによると、Stack Overflowコミュニティ1,700人の回答者のうち76%がコード生成を支援するAIアシスタントをすでに利用している。同調査によると、汎用ツールであるChatGPT(84%)を筆頭に、専用ツールとしてGitHub Copilot(49%)の利用率が際立っている。