インナーブランディングを実施するべき企業の特徴
インナーブランディングは、全ての企業が実施するべき取り組みです。中でも、特に実施する必要がある企業の特徴を解説します。自社に当てはまる点がないかを考えながら、インナーブランディング実施の必要性を探ってみてください。
定着率が低い企業
従業員の定着率が低い企業は、インナーブランディングの効果を得やすいと言われています。定着率が低いということは、自社への愛着心や信頼がなく、また自分の仕事に誇りややりがいも感じられていないということです。これらは全て、自社理解が不足していることが関係しています。
インナーブランディングは、従業員に対して企業理念や価値観、社会に対して提供する価値について理解してもらうための取り組みです。インナーブランディングが成功すれば自社に共感する従業員が増え、定着率の向上が期待できます。
M&A直後の企業
M&Aで企業買収を行った後はインナーブランディングが欠かせません。買収した企業で働く従業員は自社について深く理解しているわけではない上、今までとは異なる理念や価値観を軸に業務に取り組む必要があるため、M&A直後には必ずインナーブランディング施策を行いましょう。
しっかりとインナーブランディングを実施できれば、買収した企業に属する従業員のモチベーション維持や定着率向上が期待できます。M&Aによる退職リスクの低下にも繋がるでしょう。
部署外との関わりが少ない企業
インナーブランディングにより企業への理解が促進されると、自然と従業員同士の交流が増えます。部署外との関わりを増やしていきたい企業にとっては大きなメリットを得られるでしょう。
部署間での交流が増えれば、生産性向上も期待できます。そこから新たな商品やサービスが誕生するなど、イノベーションが生まれる可能性もあります。
インナーブランディングの施策例
インナーブランディングの施策は複数あります。どの施策にもメリット・デメリットがある他、企業によって適合性も異なります。各施策でどんな効果が期待できるのかを理解した上で、自社の目的や課題に合った施策を実施してみてください。
社内報・社内ポータルサイト
社内報や社内ポータルサイトを活用した施策は、インナーブランディングの中でも一般的な手法です。届けられる情報量が比較的多いのが特徴で、企業理念や価値観を経営者の言葉で伝える特集企画や社内のアワード特集など、さまざまなコンテンツを掲載できます。
最近ではWeb社内報を作成する企業も増えています。紙とWebの両方で社内報を発行すれば、業務でパソコンを使う機会が少ない現場の従業員にも公平に情報を届けられます。
日報
日報は従業員に常日頃から企業理念や企業の価値観を意識してもらうのに有効なインナーブランディングの施策です。
日報で大切なのは、実施する目的と日報に書く内容を明確にすることです。目的は例えば、企業理念の浸透や、自社で大切にしている価値観を体現する従業員を増やすことなどが考えられます。
目的に合わせて日報に書いてもらう内容を決めます。例にあげた目的であれば、企業理念に関するエピソードや、理念に基づいて行った行動などを日報に書くように従業員に周知しましょう。
社内SNS
社内SNSは、従業員に対して日常的に経営者からのメッセージを伝えたり、事業の活動を報告したりと、気軽に行えるインナーブランディング施策です。
企業理念や創業者の想いは一度伝えただけでは全社に浸透しません。社内SNSを通して、繰り返し発信し続けることが大切です。社内報や社内ポータルサイトの刊行や更新を社内SNSで知らせるなど、他のインナーブランディング施策と組み合わせて活用することもできます。
社内イベント
理念や価値観は抽象的な概念であるため、言葉では理解しきれない従業員も少なくありません。理念や価値観に基づいた行動や活動の事例を取り上げて理解を深めるには、社内イベントの実施が効果的です。
インナーブランディングに繋がる社内イベントは、表彰式や周年祭、研修旅行などです。企業理念や価値観を軸としたイベントは、従業員のモチベーションアップや愛社精神の育成に繋がる可能性が高く、インナーブランディング施策の中でも高い効果を期待できます。
オフィスの席変え
インナーブランディングを成功させるには、社内の交流の活性化も重要な要素のひとつです。従業員同士が積極的に関わる機会が増えれば生産性が向上し、企業の価値向上に繋がります。
部署間の交流を促す施策としては、席替えがあります。席替え方法はさまざまですが、事業部別・職能別など共通点があるグループでくくると、従業員がそこに意味を見出して自発的な交流が自然と発生していきます。
よくあるフリーアドレス制も一案ですが、結果的に席が固定化するという問題があります。席替えは席は固定でも島そのものに変化があるため、コミュニケーションが活性化しやすいのがメリットです。
クレド
行動指針や企業理念をいつでも見返せる状態にしておくことも、インナーブランディングを行う上で大切です。近年、導入している企業が増えているクレドの制定は、指針や理念を浸透させる手段のひとつとして注目されています。
クレドを作成する上で注意したいことが2つあります。1つ目は、記載するメッセージのわかりやすさです。簡潔でわかりやすい内容を意識しましょう。2つ目は、従業員が行動に移せる内容になっているかどうかです。書かれている文章が抽象的すぎるとクレドの効果が半減してしまいます。
ワークショップ・セミナー
理解していることと、それを実際に言葉にしたり、行動にしたりすることの間には大きな差があります。対話型・体験型のワークショップやセミナーでは、理解と実践の間にあるギャップを埋めることができ、より深い理解を促進できます。
例えば、これまでの企業・ブランドイメージと現在の自社イメージを整理し、次に未来の自社イメージについて考えてもらいます。そうした未来を実現させるために自分が取るべき行動はなんなのかを考えることで、企業理念や価値観を自分ごととして捉えてもらえるようになります。
サンクスカード
サンクスカードとは、普段は言えていない感謝の気持ちを従業員同士で伝え合うメッセージカードのことです。ポジティブな想いをお互いに伝えることで、良好な関係構築が期待できます。他にもチームワークの向上やモチベーションアップなどの効果も得られます。