Mihir:私たちは、この分野において根本的にユニークなアプローチを取りたいと考えています。現在、ほとんどの企業は特定の製品や原料(細胞株や培地)を製造しています。特定の製品を製造する企業は、研究から開発、マーケティングまですべてを行う必要がありますが、全分野で卓越することは非常に難しくコストもかかります。

一方で原料を製造する企業は、最終的にその原料を集めて組み合わせても、互いに適合せずに良質な完成品が作れない可能性があるでしょう。そこで私たちは、技術要素を一体化させ、そこから自動化された標準生産ユニットを作ることを考えています。

この標準生産ユニットを既存の食品会社の工場に提供すれば、各工場で培養肉生産が可能となり、プロセス管理も簡単に提供できます。これは業界が培養技術を採用するために必要な中核的な変化だと考えています。

ラボの様子(Umami Bioworks提供)

――そのためにどのような技術に取り組んでいるのですか?

Mihir:私たちは、メセンキマル幹細胞(MSC)と呼ばれる共通の親幹細胞を使用しています。MSCは親幹細胞と呼ばれ、これをもとに、筋肉、軟骨、脂肪、骨などを作れます。

MSCの培養は、単一の生産プロセスで行うことができるため、そのあとは適切な割合で筋肉と脂肪を生産します。単一のプロセスで生産できるため、スケールアップするよりもはるかに簡単になります。

たとえば、マグロの中でも大トロを作る場合、赤身や白身を作る場合で、異なる比率で筋肉と脂肪を生産できる柔軟性が必要ですが、この細胞を使用すればそれが可能です。

これによりコストが低く、スケーラブルな生産が可能となるのです。さらには、これを効率的に利用するためにデータの収集と機械学習を用います。

――どのようなデータと機械学習を用いるのですか?

Mihir:まず、魚のゲノム、遺伝子データを収集します。次に培養している細胞が成長に伴い、どの遺伝子が発現して細胞の変化に影響を与えているのか観察します。これにより、まだ幹細胞なのか、筋肉に変化し始めているのかなどがわかります。