その中国で、個人家計と民間企業を合わせた民間部門の総債務が異常な急上昇を示しています。
2000~20年のたった20年間で、民間総債務が29倍に増えてしまったのです。
同じように総債務が急膨張したと言っても、国家の場合にはいろいろ踏み倒して平然と生き延びる方策がありますが、民間企業や家計がこれほど急激に債務を増やしておいて無事に生き延びた国は過去に1国も存在しないそうです。
しかも中国家計部門の資産ポートフォリオは、凄まじく投機的な色合いの濃いものになっています。
上段からご覧ください。まだ金融市場で未成熟な部分が多い新興国としては異常なほど現預金比率が低く、同じように株と言ってもいざというときの換金性が段違いの上場株と未上場株の中で、未上場株のほうが圧倒的に比重が高く、未上場株と不動産が首位争いをしているポートフォリオです。
さらに2021年の実績では現預金よりやや比重が低く第4位だった各種金融商品の大半は、地方政府傘下の投資平台が運用している「理財商品」という名の詐欺商品でしょう。これが、もうそろそろ現預金を抜こうかというほどシェアが上がるはずだと予測されているのです。
中国経済の中では現預金に次いで安全そうな不動産も、2022年までのコロナ厳戒態勢から解放されて経済活動が本格回復するという期待が剥落してからは、下段の建築着工床面積の激減でおわかりいただけるように需要が冷えこみ、換金するとなればそうとうの値下げが必要でしょう。
米中2大国の中身のひどさを見るにつけ、日本国民が円安による自国経済ジリ貧化を受け入れていたのは、こういった骨の髄まで腐りきった国々にたかられる口実を与えないためだったという私の憶測の信憑性が増してくるような気がします。
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