しかし、ポリコレが配慮を求める対象は増加の一途を辿っており、人々に求められる「自己検閲」も多岐に及ぶようになってきました。
一方で、これまでポリコレが社会にもたらす利益について多くの研究がなされてきましたが、人間の脳機能や配偶者との関係など、私生活に及ぼす影響については、ほとんど調べられていませんでした。
そこで今回、テキサスA&M大学の研究者たちは職場など公的な場で実行されたポリコレ運動が、人間の脳機能や、職場から離れた私生活に与える影響を調べることにしました。
ポリコレ強制は脳の認知機能を低下させる
ポリコレは脳機能や私生活にどんな影響を与えるのか?
調査にあたってはまず、被験者を4つのグループにわけ、人種問題や性差別問題などに代表される「物議を醸す問題」について文章を書くように求めました。
ただグループには文章のスタンス(立場)が定められており、ポリコレを順守する文章を書かなければならないグループ、逆にポリコレに反した文章を作るように指示されたグループ、「単に礼儀正しい」文章を作るように指示されたグループ、「自由に書いていい」グループなどに別けられました。
文章を書き終わると次に被験者たちは認知テストを行ってもらいました。
認知テストでは「緑色で塗られた「黄」の文字」や「青色で塗られた「赤」の文字」など、塗られた色と実際の意味が異なるものが使用され、被験者たちは塗られた色あるいは文字の意味を素早く答えるように求められました。
ややこしいテストは混乱を誘うものですが、正解率や反応速度を調べることで、被験者たちの認知機能の高低を調べることが可能になります。
(※テストはストループタスクとして知られおり脳科学ではよく使われるものです)
結果ポリコレを強制されたグループでは他のグループと比べて、反応速度が低下しており、答えるまでにより長い時間を必要とする傾向にあることが判明しました。