ポリコレは脳の認知機能を低下させるようです。

米国のテキサスA&M大学(TAMU)が2022年に報告した研究によれば、人間がポリコレ(特定の人々に不快感を与えないための配慮)に基づいた言動を行った場合、脳の認知機能が低下し、私生活の質が棄損される可能性が示されました。

本来、ポリコレは差別や偏見を社会から無くすことを目指していますが、現在では過剰な配慮を求めることが常態化しています。

こうした過剰な配慮の要求が、人々を常に自分の発言に対する「自己検閲」状態にしてしまい、脳に大きな負荷をかけ、精神的な疲弊を引き起こしているというのです。

研究内容の詳細は2022年5月23日に『APA PsyNet』にて掲載されています。

目次

  • ポリコレとは何なのか?
  • ポリコレ強制は脳の認知機能を低下させる
  • ポリコレを求めるほど私生活の質が低下する
  • 社会的利益と個人的利益の不都合な不一致

ポリコレとは何なのか?

ポリコレは完全な善なのか?
ポリコレは完全な善なのか? / Credit:Canva

ネットでも最近良く耳にする「ポリコレ」という言葉は、正式には「ポリティカル・コレクトネス(political Correctness:政治的正しさ)」といい、もともとは左派の人々が政治的正当性にこだわる人を「皮肉る」ために使いはじめた言葉と言われています。

しかし現代のアメリカやヨーロッパ、日本など多様な価値観を尊重する社会において「ポリコレ」は、特定のグループに不快感や不利益を与えないための配慮を象徴するために用いられることが一般的となっています。

言論や思想の自由は法律の文面によって保障されるだけでは不十分であり、異なる価値観に対する積極的配慮を行うことが多元社会の維持に重要だと考えられるからです。

実際、以前に行われた研究でもポリコレを推進することは、多国籍で展開される企業などで、従業員の分裂を防いだり、従業員が特定の観点(民族主義や男尊女卑など)に縛られるのを防ぐためにも有用であることが報告されています。