しかし最終的には129人すべてがその努力もむなしく、亡くなってしまいました。

キングウィリアム島で見つかった数々の遺品は、隊員たちが、島にたどり着いたものの、そこから離れて帰国することがかなわなかったことを示唆しています。

今回、スタントン氏ら研究チームは、フランクリン遠征隊の子孫や親戚を追跡し、彼らのDNAを調査しました。

そしてそれらの情報を、キングウィリアム島で発見された遺骨のDNAと比較し、身元確認を行いました。

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キングウィリアム島で見つかった顎骨 / Credit:Douglas R. Stenton(University of Waterloo)et al., Journal of Archaeological Science: Reports(2024)

その結果、これまでに回収された400の骨のうち、1つの顎骨から採取したDNAが一致。

それがエレバス号の船長、ジェームズ・フィッツジェームズのものだと判明したのです。

そしてフィッツジェームズのものだと考えられる顎骨には、人為的に加えられた切り傷が残っていました。

研究チームによると、「これはおそらく飢えや病気に苦しんでいた隊員が、フィッツジェームズ船長の死体を食料として食べたことを示唆している」ようです。

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人肉食の痕跡がある顎骨が、フィッツジェームズ船長のものだと判明 / Credit:Douglas R. Stenton(University of Waterloo)et al., Journal of Archaeological Science: Reports(2024)

これは当時の報告とも一致しています。

1850年代のイギリスの探検隊は、キングウィリアム島のイヌイット住民から、フランクリン遠征隊の隊員の遺体に「人食いの痕跡が見られる」との報告を受けたのです。

また1990年代に行われた調査でも、遺跡から発見された4人の骨に人肉食の痕跡が見られました。