1845年に行われたイギリスの北極海探検航海「フランクリン遠征」は、全隊員129名が失踪する悲惨な結果になりました。
では、失踪した隊員たちはどのような最後を迎えたのでしょうか。
今回、カナダのウォータールー大学(University of Waterloo)に所属するダグラス・R・スタントン氏ら研究チームは、隊員の子孫や親戚を追跡し、彼らのDNAと、隊員たちがたどり着いた島で発見された骨のDNAを比較。身元確認を行いました。
その結果、船長の遺骨も特定され、骨に残る痕跡からその肉が仲間の船員に食べられていた事実も判明しました。
フランクリン遠征隊は、ビクトリア海峡で氷に閉ざされ、低体温症、病気、飢えにさらされた結果、ついには先に死んだ仲間を解体して人肉を食べるまで追い詰められ全滅していたのです。
研究の詳細は、2024年9月24日付の学術誌『Journal of Archaeological Science: Reports』に掲載されました。
目次
- 129名全員が失踪したフランクリン遠征隊
- DNA判定により、「フィッツジェームズ船長の人肉は隊員たちに食べられていた」と判明
129名全員が失踪したフランクリン遠征隊
「フランクリン遠征隊」とは、1845年にカナダ北極圏の未踏領域を探検したイギリスの遠征隊です。
彼らの目的は、その未踏領域を横断し、ヨーロッパとアジアを結ぶ「北西航路」を発見することでした。
このルートは、19世紀の海上貿易において大きな利益をもたらすと考えられていたため、イギリスはその発見に力を入れていました。
この重要な任務を任されたフランクリン遠征隊は、2隻の船「エレバス号」「テラー号」と129名の隊員で構成されていました。