問題視されているのは、栃木県那珂川町の「那珂川町馬頭広重美術館(以下 広重美術館)」である。先月末(9月30日)の各報道によると、木で作られた箇所の腐食が進んでいるという。
隈研吾の建築が「青カビと腐食でボロボロ」「建築家の仕事とは思えない」…!地元住民も首をかしげる名建築家の「致命的なトラブル」
広重美術館が主に展示するのは、浮世絵師「安藤広重」の作品だ。特徴的な細い直線で描かれた「雨」は、ゴッホやモネら西洋画家にも大きな影響を与えている。隈氏が着目したのもこの雨だった。
「広重の雨の絵から感じる時雨れた感じを木のルーバーで表現しよう」
雨のみちデザイン|interview vol.1 隈研吾
隈氏はこう考えたという。
素材は、地元産の杉「八溝杉」。これを細く切る。不熱処理を施す。直線状に配置する。完成したルーバーは、広重の描く「雨」そのものだった。
だが、皮肉なことに、その「雨」が美術館を劣化させていく。
開館当時、黄金色に輝いていた地元杉は雨で腐食が進み、黒ずみ、折れ、裂けた。美しかった直線は、ささくれて破線となった。