彼らの生活環(ライフサイクル)は、最初に両親の交配によって生じた「受精卵」からスタートし、24時間かけてふ化した自由遊泳性の幼生「シディッピド(cydippid)」となります。
シディッピド期間には獲物を捕らえる2本の長い触手がありますが、成長するにつれてなくなり、「ローベイト(lobate)」と呼ばれる成体となります。
ところがノルウェー・ベルゲン大学(University of Bergen)の研究で、成体のムネミオプシス・レイディを飢餓状態にさせたり、一部組織を切り取って傷つけたりすると、シディッピドの状態に戻って、そこから再びローベイトへの成長をやり直したのです(BioRxiv, 2024)。
これは体が傷つくたびに何度も繰り返すことができ、理論的に言うと、ムネミオプシス・レイディは「不老不死」の能力を手にしていると見ることができました。
同じ能力を持っているのは他にベニクラゲくらいです。
これだけでもムネミオプシス・レイディが自然界で特別な存在であることがわかりますが、さらに驚くべき新能力が明らかになりました。
それが仲間同士のフュージョンです。
傷つくと2匹が1匹に融合できた!一体なぜ?
ムネミオプシス・レイディの新能力は偶然に見つかったものでした。
研究室の海水タンクでムネミオプシス・レイディの集団を飼育していたときのこと。
ある日、研究者が海水タンクを様子を観察したところ、1匹だけ特に大きな個体がいることに気づいたのです。
しかもその個体は単に大きいだけでなく、胴体が2つあり、明らかに2匹の個体がくっついていることを示していました。