日本株は、基本的に「単元株」で取引する。「単元株」とは、100株単位でしか売買ができない仕組みのことだ。この仕組みによって、株式投資ではある程度まとまった資金が必要になる。しかし、1株単位で売買ができる「単元未満株」というサービスを提供している証券会社もある。これを利用すれば、約3,000円の投資で人気企業であるイオンの株主になることも可能だ。

日本の株は「単元株」での取引が基本

まず、日本株における「単元株」という仕組みについて解説しよう。

単元株とは、株式取引の最少単位のことだ。単元株は上場している各企業が定めるもので、現在は100株が基本になっている。ちなみに過去には「200株」「500株」「1,000株」という単位も存在したが、2018年10月から100株に統一された。

単元株について知ったところで、株式を保有するには実際にどのくらいの金額が必要になるのか考えてみよう。例えば、トヨタ自動車の株価は2020年12月30日時点で7,957円なので、保有する場合は79万5,700円が必要になる(手数料別)。

中には1株が数十円、数百円という株もあり、100株単位で保有しても投資額は数千円、数万円に留まるが、よく知られた大手企業の株を保有しようとすると、数十万円程度の資金が必要になる。

大手企業株を1銘柄保有するだけでも多くの資金が必要になるため、「株式投資は敷居が高い」と思う人もいるだろう。しかし、1株単位で株を保有できる仕組み・サービスがある。それが「単元未満株」だ。

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「単元未満株」なら有名企業の銘柄も1万円以下で購入できる

前述のとおり、単元未満株は1株単位での売買を可能にする仕組み・サービスで、証券会社によっては「ミニ株」「ミニ投資」といった名称でサービスが提供されている。

単元未満株の最大のメリットは、少額で株主になれることだ。例えば、トヨタ株を100株購入しようとすると約80万円が必要になるが、1株だけなら8,000円程度で済む。

これから株式投資を始める人は、ぜひ利用したい。価格下落のリスクが、最小限に抑えられるからだ。まずは単元未満株で株式投資に慣れて、それから単元株の投資にチャレンジする人も少なくない。

冒頭で触れたイオンの場合はどうだろうか?

トヨタ自動車の例を挙げたが、最初に触れたイオンの場合はどうだろうか。

イオンの2020年12月30日時点の株価は3,385円なので、単元株でイオン株を保有しようとすると33万8,500円が必要になる(手数料別)。株式投資に慣れていない人が、この金額を1社に投資するのはかなり勇気がいるだろう。

一方で単元未満株であれば、1株なら3,385円、10株でも3万3,850円で済む。この程度の金額であれば、たとえ株価が5%下落したとしても損失は169円、1,690円に留まる。

株主優待や配当金はどうなるのか?

このように、単元未満株には少額でその銘柄の株主になれるというメリットがある。しかし、中には単元未満株の投資にデメリットがないか気になる人もいるだろう。単元未満株では、株主優待や配当金はどのような扱いになるのだろうか。

単元未満株で株主優待はどうなるのか?

日本企業の中には、100株以上を保有している株主に対して商品券や割引券、ギフトの贈呈などを行う「株主優待」を行っているところがある。しかし、単元株未満の株数しか保有していない株主に対しては、基本的に株主優待は行われない。

100株未満の株主にも株主優待が進呈される銘柄もあることはあるが、数は少ない。そのため株主優待を目的としている場合は、単元未満株への投資は適していない。

ちなみにイオンの株主優待には、キャッシュバック制度が魅力の「ご優待カード」の発行などがあり、対象者は「100株以上の保有者」と公式サイトに明記されている。

単元未満株で配当金はどうなるのか?

単元未満株は株主優待の対象外だが、配当金を受け取ることはできる。配当とは企業が利益の一部を株主に還元する制度のことで、配当金は保有株数に応じて受け取ることができるため、1株のみの保有でも対象となる。

また、単元未満株には株主総会における議決権がない、約定のタイミングが限られているといった制限もあるが、基本的には「株主優待はないが配当金はもらえる」と覚えておくとよいだろう。

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少額投資なら「単元未満株」も選択肢に

この記事では、単元未満株の概要について説明した。少額で投資を始めたいのであれば単元未満株は有力な選択肢になる。まずは、単元未満株のサービスを提供している証券会社で口座を開設するのが第一歩だ。複数の証券会社を比較した上で、自分に合うところで口座を開設してほしい。

 
執筆・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)

国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
 

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