一方、暗号資産の運用では、取引所へのレンディングが典型ですが、一つの会社が顧客資産を預かって運用・保管・分配を一手に行う形です。
伝統的な金融商品で行われている業務内容による分権がされていないため、特定の人達が勝手なことをできてしまい、トラブルが発生しやすい体制です。
伝統的金融業界の経験を活かした暗号資産デリバティブを提供――こうした従来の暗号資産運用に比べて、貴社はどのような商品を提供しているのでしょうか?
瀬戸口:広告・勧誘規制の都合上、あまり具体的な商品・サービスのお話はできないのですが、傘下のPenguin Securities Trading Pte. Ltd.(シンガポール籍の企業でシンガポール法に服する)として、暗号資産デリバティブを活用した商品(裁定取引を用いたステーブルコイン運用など)を提供しています。
先述の適切な分権がなされていないという問題を解決するため、取引所機能と信託機能をしっかり分離し、取引所に直接入金することなく取引を行っておりますので、暗号資産取引所の倒産リスクから隔離されていることが弊社の大きな特徴です。
また、暗号資産に関する全般的なコンサルティング業務も営んでいます。ここでは、会計士や弁護士など外部の専門家とも連携しながら、税金や海外移住などもサポートしていきます。いわば、暗号資産を重点的に扱うプライベートバンクという位置づけです。
――暗号資産デリバティブについて、シンガポールではどのような規制になっているのでしょうか?
瀬戸口:暗号資産デリバティブ商品は、シンガポール金融管理局(MAS)の規制対象外ですが、今後規制を受けることになっても良いよう万全の体制で取り組んでいます。
一方、傘下にあるもう一社Penguin Securities Pte. Ltd.は、暗号資産及び伝統的な金融資産のブローカレッジ業務に加えて暗号資産と株・債券・商品・為替など伝統的な金融資産を組み合わせたハイブリッド商品を提供できるようMASの認可を申請中です。