家計調査の就業者数を雇用形態別でみると、フルタイムが前月比41.4万人増と増加に反転し、年初来で3回目の増加となった。複数の職を持つ者は同12.1万人増と3カ月連続で増加した結果、866万人と過去最多を記録。一方で、パートタイムは同9.5万人減となり、年初来で3回目の減少に。

チャート:フルタイムと複数の職を持つ者が増加

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(出所:Street Insights)

チャート:複数の職を持つ者は3カ月連続で増加した結果、過去最多に

jr24sep_mul (出所:Street Insights)

NFPと家計調査の就業者数の動向の、どちらを信用すべきか悩むところだろう。米労働統計局によれば、NFPを含むCES(他に平均時給、週当たり労働時間が含まれる)は、他指標とコロナ禍を経て同様に回答率が低下してきた。直近のデータをみると、CESは2024年3月に43.5%、雇用動態調査(JOLTS、求人件数などを含む)は33.2%と、それぞれ低水準を保った。失業率や労働参加率などを管轄するCPSは対面と電話での聞き取り調査となるなか、2024年4月に69.7%と、他と比較して高い。こうした違いを踏まえれば、CESの結果よりCPSの方が信頼性が高いように見える、しかし、CESの調査対象は12万2,000以上の会社や政府機関である一方で、CPSは6万世帯に過ぎない。従って、通常は雇用の伸びについてはNFPを扱うCESを重視する傾向が強い。

チャート:雇用関連の調査回答率は低迷

nfp24june_res (出所:Street Insights)

〇起業・閉鎖モデル

NFPを算出する上で、複数の職を持つ者の押し上げのほか、起業・廃業モデルに注目すべきだろう。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、2023年7月に同様の記事を配信し、起業・廃業モデルなどを理由に「NFPは労働市場を過大評価している可能性」を取り上げ、筆者以外に疑問視する声の存在を感じさせていた。