今年の2月に「「発達障害バブル」はなにを残したのか」という記事を書いた。2015年頃から流行してきた、精神疾患の中でも発達障害だけは「ギフテッド」(恵まれた特性)で、特殊な才能と一体なのだといった論調に、警鐘を鳴らす内容である。
いわゆる日本社会の「同調圧力の強さ」に対して、いやいや、自分の個性を認めてくださいよと言いたい欲求は、多くの人が持っている。そのとき、「病気なので変えられません」かつ「でも ”キラキラした” 病名で、名乗っても恥ずかしくない」という選択肢が出てきたら、これは強力だ。
そうした背景が、バブルに喩えられるほどの発達障害の流行には、あったと思う。なのだけど最近、上記の記事に寄せられたコメントを読んで、「うーむ」と再び考え込んでしまった。
そうだよなぁ。むしろ「普通の人」や「常識人」こそ、この10年ですっかり消えちゃったもんなぁ。特にTVやSNSでは。
たとえば、会話の相手に「わざと」失礼な態度をとるキャラで、ウケる人がいる。タレントはもちろん、学者や政治家にまでいたりする。人としておかしいよねと批判しても「いやいや、そこがいいんじゃん!」とファンが合唱して、かき消される。でも、なにかのタイミングで手のひら返しが起きて、人気を失う。