少し前にネット上で高卒の警察官が高収入であるということが話題となっていた。投稿された年収モデルによれば、19歳・巡査が約346万円、25歳・巡査が約535万円、30歳・巡査長が約653万円、40歳・巡査部長が約825万円、59歳・警部補が約1008万円。退職金は約2500万円と記されており、本当ならば大企業の役員並みの金額である。警察官の仕事といえば、長時間労働や夜間勤務に加え、身の危険もある大変な仕事だというイメージを持つ人が強いが、この年収モデルが本当だとすれば、魅力的な職業だと考える人も少なくないだろう。そこで今回は、元神奈川県警警察官で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏に話を聞いた。

給与は年功序列+定期昇給によって上がっていく仕組み

 警察法で定められている警察官の職務は、下級から巡査、巡査長、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監と10の階級に分かれている。上記の高卒警察官の年収モデルは本当なのか。

「概ね実態に近く、高卒警察官の典型的なケースだといえます。初任から定年前の59歳で警部補を務めるというのが警察官のなかで最も多い昇進パターンです。警察官の給与体系は非常にシンプル。基本的に年功序列で、年齢が上がるにつれて給与も上がっていく仕組みで、その他に巡査長、巡査部長、警部補といった階級ごとに定期昇給があります。

 警視庁の公式サイトによると高卒の初任給は22万1800円で、大卒の初任給は25万9300円となっていますが、高卒で警察官になった人が23歳になれば、大卒者の初任給と同じ額の給与がもらえます。学歴は関係なく、年齢が同じで階級も同じであれば、もらえる給与額は高卒でも大卒でも変わらないのです。また退職金についても、たとえば東京都や神奈川県では2300~2500万円ほどが一般的な額です」(小川氏)