その後、地方票の割合を増やし、小泉純一郎氏が橋本氏に地滑り的勝利を収めたと言われた2001年の総裁選においても、都道府県の持ち票を1票から3票に3倍にしたが、それでも、当時として国会議員票の方が割合としては各段に大きい。
それが、自民党が下野した後の総裁選(2009年・2012年)あたりから党員票の割合が激増して、国会議員票を凌ぐという状態にもなり、政権に復帰してからは、基本的にずっと国会議員票と党員票の割合は同じとなっている。
自民党の政権復帰後は、しばらく安倍一強であり、安倍政権、そして安倍さんの後継として菅政権が誕生した10年近い期間が長く、また、岸田氏もある意味で当時の流れとしては当然の形で総裁になったため、これまであまり顕在化してこなかったが、実は総裁選びにおける党員票の存在感は大きい。
今回、そのことがはっきりと顕在化したが、党員票の存在感が制度的に極めて大きくなっていることは改めて認識されるべき状況だと思う。
そして、党員票の影響力増大の3つ目のポイントであるが、これは自民党員のデモグラフィー(年齢や性別等の構成)に関わる問題である。
実は、少なくとも確実な数字としては私自身は把握していないので、知り合いの国会議員などからの聞き取りに基づく感覚的な傾向分析となるが、一言で言って、「高齢化&保守化」が顕著であるということだ。元々男性が多いということも相まって、今回の候補者で言えば、典型的には、高市氏のような保守強硬派の候補に最も支持が流れやすいということである。
少なくない割合の自民党の国会議員は、今回の総裁選に際し、恐らく私同様に、「国民は、刷新感を求めており、その観点からは、小泉氏や小林氏のような、若いながらも演説がしっかりしていたり(小泉氏)、政策通であったり(小林氏)、そうした新しい候補を求めるのではないか」ということで、小泉氏や小林氏への支持を決めたものと思われる。実際、最後まで総裁選出馬を模索していた野田聖子氏、齋藤健氏などは、小泉陣営に加わった。