さらに、指揮官であるタコにも、獲物を捕まえる上で有用な役割があります。

タコの柔らかい腕は、小さな隙間に隠れている獲物をそこから追い出したり、捕らえたりできるため、それが群れ全体の狩りに貢献しているのです。

ちなみに、群れで協力するとはいっても、捕らえた獲物を共有している証拠は見つかりませんでした。

群れの生物はすべて、甲殻類、魚類、軟体動物を食べる雑食でしたが、自分で捕まえた獲物を各々で食べていました。

また、「タコは群れの個体を認識しているのか?」という疑問も明らかになっていません。

タコには「お気に入りの魚」がいて、「できれば次の狩りも、その魚と一緒に狩りをしたい」と考えているかは分かっていないのです。

さらに、「このような社会的な狩猟行動は、一部のタコが学習により獲得したものなのか、それともタコに生来備わっているものなのか」という疑問も残っています。

いずれにせよ、今回の発見は、知能の高いタコが持つ社会性を解明する上で大きな一歩となりました。

今後の研究の進展にも期待したいものです。

そして今でもタコ軍曹は、海の底で部下の魚たちを厳しく指導しているのでしょう。

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参考文献

Octopuses seen hunting together with fish in rare video — and punching fish that don’t cooperate
https://www.nbcnews.com/science/science-news/octopuses-hunt-with-fish-punch-video-rcna171705

Unlocking the secrets of multispecies hunting
https://www.campus.uni-konstanz.de/en/science/unlocking-the-secrets-of-multispecies-hunting