しかし今回、サンパイオ氏らの研究により、タコの一種であるワモンダコ(学名:Octopus cyanea)が、魚たちと役割分担して、1つの組織として協力しながら狩りをしていることを発見しました。

この研究にあたって、研究チームは、紅海で120時間潜水し、特別に設計された広角カメラで動画を記録し、タコの狩りを13回追跡。

結果その間に、「ハタ」や「ヒメジ」などサンゴ礁に生息するいくつかの魚の群れが1匹のタコに2~10匹協力していることを発見しました。

また、これらタコや魚は、それぞれが自分の役割を持っており、タコが「鬼軍曹」のように高圧的に振る舞っていることも分かりました。

(次項では、タコ軍曹が魚たちを殴っている動画を紹介します。)

タコは積極的に獲物を追いかけない部下を殴って指導する

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タコは魚たちと協力して獲物を狩っていた / Credit:Eduardo Sampaio(University of Lisbon)_Unlocking the secrets of multispecies hunting(2024)

タコと魚たちは、研究者たちが想像していた以上に、組織的に行動して狩りを行っていました。

例えば、タコは指揮官のような役割を担っていました。

動画を分析したところ、タコが狩りの中心にいて、群れが新しい場所に移動するかどうかを決定することが多いと分かりました。

タコが移動するとほとんどの魚がそれに従うのです。

また、ヒメジはタコのレーダーのような役割を担っていました。

ヒメジは群れの先頭に立って進み、狩場を偵察したり探索したりして獲物を探します。

このヒメジのおかげで、タコは狩場の中を動き回る必要がありません。

ただ動き回るヒメジを見て、獲物がいればそこにとどまり、獲物がいなければ別の場所へと移動するのです。

そして魚たちが積極的に獲物を見つけようとしない場合、タコは鬼軍曹のようにそれら「怠惰な魚たち」を厳しく指導し始めます。