つまり、花粉症を起こすにはアレルゲンと結びつく「IgE抗体」を持っていなければなりません。
そこでチームは今回、過去にシベリアの永久凍土で発掘されたマンモスの体組織サンプルを調べてみました。
体内で作られたIgE抗体の一部は消化器官を通って便として排出されるため、マンモスの胃の内容物を詳しく調べてみることに。
その結果、チームの予想通り、マンモスの体内からIgE抗体を構成するタンパク質断片が発見されたのです。
研究主任のグレブ・ジルバースタイン(Gleb Zilberstein)氏は「数万年前のマンモスの遺体からIgE抗体を見つけたのは今回が初の成果です」と話します。
この証拠はマンモスの免疫システムがアレルゲン(花粉)に反応して、アレルギー反応(花粉症)を引き起こしていた可能性を示唆するものです。
よって「花粉症でマンモスが絶滅した」という大胆な仮説もまったくあり得ない話ではないことがわかりました。
とはいえ現段階で集められた証拠だけではまだ、この新説が従来の「気候変動」や「人類の狩猟」シナリオよりも説得力があるものとは言えません。
「花粉症」説を確かなものとするには、さらなる物的証拠が必要です。
ただ現実的な見方をすると、花粉症がメインになってマンモスを絶滅に追いやったというよりも、気候変動や人類の狩猟にプラスして、花粉症がマンモスを弱らせるのに加担したと考える方が妥当かもしれません。
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参考文献
Pollen allergies drove woolly mammoths to extinction, study claims
https://www.livescience.com/animals/mammoths/pollen-allergies-drove-woolly-mammoths-to-extinction-study-claims