しかしその中でも特に有力な説は、おおよそ2つのシナリオにまとめられます。
1つは「気候変動」です。
約7万〜1万年前の最終氷期まで生き残っていたマンモスは、寒冷な気候に適応した生態となっていました。
ところが最終氷期の終わりに急激な温暖化が始まり、地球の平均気温は約10℃も上がったといわれています。
その結果、それまで暮らしていた環境の植生がガラリと変わり、餌となる資源が消えました。
こうした凄まじい環境の変化にマンモスの進化がついていけず、徐々に個体数を減らしていったのです。
もう1つは「人類による狩猟」です。
ホモ・サピエンス(現生人類)は約20〜30万年前に誕生し、約6〜7万年前に生まれ故郷であるアフリカを出て、世界中へと広がっていきました。
最終氷期の終わりまでにはシベリヤや北アメリカにも達しており、大型動物を狩るための鋭利で頑丈な石器も発明しています。
これまでの考古学調査でも、石器によって狩られたと見られるマンモスの遺体がいくつも見つかっており、人類が積極的にマンモスの狩りをしていたことがわかっています。
マンモスは1回の出産につき1頭の子供しか産まなかったため、狩猟の圧力に非常に脆弱な生き物でした。
そして人類が繁殖不能になるまでマンモスを狩り尽くしたことで、種の絶滅に至ったと考えられています。
これら2つはマンモスが絶滅したシナリオとして最も有名なものです。
しかし研究チームは今回、まったく別角度の大胆な新説を提唱しました。
それが「マンモスは花粉症が原因で絶滅した」というものです。
マンモスは「花粉症」で絶滅した?
花粉症は花粉に対するアレルギー反応によって起こる疾患で、くしゃみや目の痒み、鼻水や鼻づまり、熱っぽさといった不快な症状を伴います。
しかし人では花粉症がいくら重症でも死に至ることはありませんが、研究者らは「マンモスなら花粉症で種の絶滅もあり得る」と話します。