■食べた物を忘れる催眠療法

 時に催眠術は、病気の症状緩和に役立つことも。1899年には、催眠療法によって胃に問題を抱える女性の症状が緩和された事例が報告されている。胃の不調から、摂取した食べ物を全て吐き出してしまう症状に苦しむ女性に、医師が催眠術による治療を提案。医師はまず彼女に、実際には口にしていない食べ物が胃に残っている、という暗示をかけた。しかしこの催眠療法は何度試みても上手くいかず、女性は嘔吐し続けるだけだった。そこで医師は、実際に摂取した食べ物を忘れるという暗示を試みた。すると女性は食べた物を吐き出すことなく、催眠療法は無事に成功したという。