■生き血の代わりに赤いビール!?

 そうこうしている間にも、人間はセクメトによって次々に殺され続けており、ついに人類滅亡のカウントダウンがはじまります。とにかく何か手を打たなければ、と神々は一つの策に賭けることとなりました。

 神々と生き残ったわずかな人間たちは力を合わせ、麦と薬草から、真っ赤な色をした生き血にそっくりなビールを大量に作ります。そしてこれを生き血を好むセクメトに飲ませて、酔い潰れたところを捕縛しようという策です。

 相当にガバガバな作戦に思えますが、この策は見事に成功し、セクメトは血の色をしたビールを大量に呑み、酔いつぶれて寝てしまいます。その後は、詳しい方法こそ語られていませんが、セクメトが寝ている間に彼女の中から「人間に対する憎しみと殺戮衝動」だけが抜き取られ、人類滅亡という最悪のシナリオは回避されたといいます。