■エジプト最強の破壊の女神セクメトの大虐殺
セクメト女神は「雌ライオンの頭を持つ、美しい女性の姿」という、エジプトの神話においてはさして珍しくもない外見でした。ただ一点異なるのは、セクメトという存在が「神に敬意を持たない人間たちを皆殺しにするため、太陽神ラーによって意図的に創られた破壊神」ということです。
創造主であるラーは、セクメトに対して早速「世界中の人間を皆殺しにせよ」と命令します。元々そのためだけに、かつ太陽神の手で創造されたセクメトは非常に強く、ライオンの牙と鋭い爪でもって、地上の人間を手当たり次第に虐殺して回りました。
セクメトが地上に降り立ってからというもの、人間は強大な神の力を前に為す術もなく次々に殺され、大地は血で真っ赤に染まり、セクメトは殺したての人間の亡骸から生き血をすすり続けます。
このように、セクメトはラーの命令通り、毎日欠かさず大量の人間を殺し続けました。やがて生きている人間の方が少なくなり、人類は滅亡の危機に陥るのです。エジプトの一部の砂漠が赤いのは、セクメトが殺した人間の大量の血が染み込んでいるため、という伝承もあるほどです。