その後、22日のブランデンブルク州の選挙では、社民党とCDUがAfDの進軍を止めるためだけに奇妙な“協働”に走り、社民党(30.9%)が1.7%ポイントという僅差で、AfDを抑えた。これが本当に民主主義かどうかは甚だ疑問だが、それよりも、先の2州も含めて、今後の連立交渉がどうなるのかが見ものだ。
AfDが連立交渉から阻害されることだけは確かだが、そうなると、その他の党が、皆で組まなければ過半数が取れず、まさに野合のような状態となる。今の連邦政府も21年12月、まさに同じで、主張の全く異なる3党が無理やり連立した結果、統治能力がなくなってしまって久しい。それが、今後、州単位であちこちで起こるとしたら、ドイツではますます発展途上国化が進む。
なお、「移民・難民問題は1番の問題ではない」として、移民や難民による犯罪を無視した緑の党は、ザクセン州ではかろうじて5.1%の票を得たが、チューリンゲン州(3.2%)とブランデンブルク州(4.1%)では5%条項を満たせず、州議会での議席を失うことになった。
そして、この選挙結果に慌てた政府は、急遽、国境の監視を始めた。これまでは、オーストリア、ポーランド、チェコの国境はほぼ監視していたが、それを、周辺9カ国全ての国境に拡大したわけだ。ただ、隣国がドイツから押し戻された難民をおいそれと受け入れるはずもなく、今後、EUの難民政策がさらに混乱することは織り込み済みだ。
EUの未来に揺れる難民問題