自分が会社員時代に教わって良かったなと思う技術がToDoリストだ。

仕事をする上で場当たり的で降ってきた順番から仕事を進めるのは、最も効率が悪く集中力もなくなる。今はサラリーマンではないがその日にやるべきタスクは事前にToDoリストに書き出しておく。そうすれば、優先度の高い順から集中してシングルタスクでシステマチックに処理していけばいい。集中しているからいい仕事になるし、脳疲労もあまりない。

参考までに世間的に「マルチタスクは優秀な人がやること」みたいに言われているが、厳密にはこれは誤りである。

スタンフォード大学の神経科学者エヤル・オフィル博士の主張によると、人間はPCと違って厳密な意味でのマルチタスクはできない。同時にやっているように見えても、実はデスクの上に複数のタスクを乗せているだけに過ぎず、処理できるタスクは常に1つだけである。それを素早く切り替えているので、あたかも同時に処理できているように見えるだけであり、タスクの切り替えタイミングで確実に集中力は失われている。マイクロソフトの研究機関であるマイクロリサーチが行なった研究では、マルチタスクをすることで生産性が40%低下するとしている。

これをPCやスマホに例えると、メモリ上にブラウザ、家計簿ソフト、音楽プレーヤーなど複数起動しているものの、実際に動作しているアプリ1つを除けば「スタンバイ状態」になっているようなイメージである。マルチタスクが得意な優秀な人、と称される人も100%ピュアなマルチ状態ではなく、卓越したマネジメント力で複数のタスクをスタンバイ状態でメモリに書き込み、1つ1つをシングルタスクで処理できる人のことである。ToDoリストはマルチに投げられたタスクを漏れなく、優先度の高い順に並べ、シングルタスクで処理する集中力を使うスタイルなのだ。

そしてシングルタスクで処理する上で重要なのはタイムブロッキング、すなわちあらかじめ時間を確保しておくことだ。筆者の場合は午前中は執筆活動、午後に動画撮影や編集、最後に問い合わせ対応とタスクを処理する時間帯を決めている。