ない候補者は、そもそも総裁になる資格自体があるのかすら疑問だ。

公選法ルールとの性格の違い

公選法とのルールの性格の違いも明確に認識する必要がある。

公職選挙法が、すべての人に向けられた法律であるのに対して、今回の総裁選に関して設定されたテンポラリー・ルールは、あくまで、総裁選を戦う候補者、陣営の間の「戦い方」に関するルールだ。そのような候補者本人の活動、陣営の活動以外の、地方組織も含めて党の所属議員、党員・党友による総裁選に向けての活動全体に適用されるべきものではない。

もちろん「カネをかけない総裁選」という方針は、できるだけ党全体において尊重されるべきであるが、ルール自体が適用され、その違反が問題にされるのは、候補者、陣営自体の行為である。

「カネがかからない総裁選ルール」との関係も、候補者、陣営が行った行為とそれ以外の支援者の行為とでは評価は全く異なる。

高市氏のリーフレット郵送問題

上記の総裁選ルールへの違反が最初に問題にされたのが、高市早苗氏だった。高市氏の総裁選に向けての政策を記載したリーフレット30万部超が、上記のルールの通知後に全国の党員・党友に届いたことで、ルール違反の疑いが指摘された。この問題で、逢沢選管委員長は、9月11日、高市氏を口頭注意した。

高市氏は、総裁選出馬が確定していなかった7月に原文を書き、8月の頭に業者に依頼して、8月末には発送の手続きを済ませ、それが上記のルール通知後に配達されたもので、総裁選ルールには違反しないと説明している。

しかし、8月21日に自民党選管から逢沢一郎委員長の名前で出された書面で、「自民党が変わる」「自民党を変える」決意に相応しい選挙とするために「今回の総裁選に関係する告示前の活動(いわゆる事前活動)についても、極力、費用をかけないよう努めるべき」と通達しており、発送を終えるまでに、「カネのかからない総裁選ルール」は十分認識できたはずだ。