1. 施工予定者決定後の流れ

    コンペを経て、2021年3月に市街地再開発事業の施工予定者(代表事業者:野村不動産株式会社、共同事業者:東急不動産株式会社、住友商事株式会社、ヒューリック株式会社、東日本旅客鉄道株式会社)が決定した。

    その後、事業計画を策定に向けて調整が進み中、施工予定者から容積率900%を1000%に変更する要望があった。施工予定者選定する上での条件が900%であったことから、コンペの妥当性について疑義が生じた。

    また当初の設計案では新サンプラザのレジデンスもしくはオフィス関係者でなければ、5階程度高さまでフロアにしか入れないことがわかり、自民党会派としては容積率アップの条件として、最上階に誰でも入れる展望施設を入れるべきだと提案した。その後、事業収支の計算などに時間を要し、当プロジェクトに関係する議案が2024年3月に議決した。

    その時点での事業概要は2024年1月29日中野区議会中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会資料「中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業に係る事業計画(案)及び資産の活用について」で示されている。

    どういった特徴の施設であるかはもちろん重要であるが、本稿では事業収支に問題が生じたところに焦点を当てているために割愛させていただく。

    下図に示ように事業収支案は、提案時2021年3月約1810億円、2022年12月約2250億円、2024年1月約2639億円と事業採算性を高めるための容積率増加、物価高騰等の社会情勢を要因として上昇していた。上述の2024年3月の中野区議会で議決がかかった議案説明においては最後の金額から大きく変わることはない見込みだと説明があった。

    中野区議会はいろいろと不安を抱えるプロジェクトに対して、委員会の日程を増やし、様々な議論をさせていただいた。少なからず私が所属する会派は、事業進捗の足を引っ張ることが最大のリスクにつながると判断し、賛成をさせていただいた。

    図4 新サンプラザプロジェクトの事業収支案の変遷