スポーツBEVメーカーに変貌を遂げたロータス・カーズの最後のミドシップエンジンモデルと言われているのが、現在絶賛販売中のエミーラです。
1990年代、メーカー消滅の危機に陥っていたロータスを救ったエリーゼの流れをくむバスタブ型のアルミ製モノコックをベースに、プレミアムスポーツカーとして設計・製作されるエミーラは、ライバルにどこまで肉薄できたのでしょうか?
目次
・パワーよりも軽量であることにこだわったチャップマンの哲学
・最後のミドシップエンジン搭載車となるエミーラ登場!
・ミドシップ、MR駆動を350馬力オーバーのエンジンで操る
・プレミアムスポーツカーにふさわしい意匠と安全装備の数々
・エミーラは1500万円オーバーの価格でも安いぐらい!?
パワーよりも軽量であることにこだわったチャップマンの哲学
現在のロータスは、2017年にマレーシアのプロトンから51%の株式を取得した中国のジーリーホールディンググループ傘下となっており、ハイパーBEVメーカーとしての活動を本格化しています。
その歴史は、天才エンジニアのコーリン・チャップマンによって1948年にスタートしました。当時はガレージの裏で手作りでクルマを制作する、いわゆるバックヤードビルダーで、エンジンは市販車のものを流用していました。
アラフィフの筆者にとって、ロータスといえば漫画「サーキットの狼」の主人公風吹裕矢の愛車ヨーロッパや、1977年に公開された映画「007私を愛したスパイ」に登場したジェームズ・ボンドの愛車エスプリが思い浮かびます。
いずれもエンジンをミドシップに搭載した軽量なスポーツカーであり、『パワーアップすることによりストレートで速くなり、車重を減らすことでどこでも速くなります』というコーリン・チャップマンの哲学から生まれたモデルです。
一般的にエンジンのパワーアップは、チューニングやエンジン換装によって容易に可能ですが、軽量な車体は耐久性やシャシー剛性に影響があるので簡単には行きません。そのためコーリン・チャップマンは、さまざまな創意工夫を施し、マシンを軽量化して性能を高めてきました。この思想は、ロータスのエンブレムをもつすべてのクルマに受け継がれています。